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フシギにステキな素早いヤバさ

フシギにステキな素早いヤバさを追いかけて。俺は行くだろう。

11月3日(木)祝日 第十三回文学フリマにて『ボカロクリティーク』2冊と『筑波批評 2011 秋』。その紹介

概要

同人誌即売会ながら、入場無料だそうです。

期日 11月3日(木)祝日
時間: 11時から16時
場所: 東京流通センター 第二展示場(E・Fホール)
筑波批評ブース: 2階 オ―15
アクセス: 東京モノレール「流通センター駅」徒歩1分
公式サイト http://bunfree.net/

筑波批評社のブースにて頒布される批評同人誌『筑波批評 2011 秋』に批評を書かせていただきました。
また、筑波批評社さまの協力で、同じブースにボカロ批評同人誌『ボカロクリティーク』2冊を委託販売させていただくことになりました。こちらは中村屋さんと結成したサークル「白色手帖」@にてボーマス18(11月19日日曜日)でも頒布予定です。
f:id:yaoki_dokidoki:20111007214815j:image:w360

ボカロクリティークは2冊(2種)あります。

  • 『 VOCALO CRITIQUE Vol.01』ボカロクリティーク 創刊号(既刊・ボーマスにて2011年9月4日発行)
  • 『 VOCALO CRITIQUE PILOT』ボカロクリティーク パイロット(新刊・ただし文フリにて2011年6月12日に既刊のものを再編集・増補したもの)

率直にいえば、ボカロクリティーク創刊号の方は、ボカロ・UTAUクラスタによって書かれたテキストとして、パイロットの方は批評クラスタによって書かれたテキストとしての重みが強いと思います。ボカロクリティーク編集人・営業・オーナーの中村屋@さんの尽力により、ふだんボカロイベントにいかないけど「ボカロ批評」に関心があるという方々にぜひ、手に取っていただきたいと委託をさせていただきました。

ボカロクリティーク パイロットとは

今回は「パイロット」について簡単に紹介させてください。
パイロットは、「試験的に行うもの」「水先案内人」という意味です。ここではすなわち、9月のボーマスにて頒布された『ボカロクリティーク 創刊号』の先行版として位置づけられる原形の6月文フリ版『ボカロクリティーク』に対して、中村屋さんが名付けてくれたものです。
資金的・時間的理由で39部だけのコピー本を前回の文フリにて頒布しましたが、それをオフセット版としてきれいに再編集し、さらに下記の増補を行いました。この新刊化にかんしては裏方としての中村屋さんが大いなる原動力となって実現されていることを強調したいと思います。
つまり、単なる批評プロパーによるボカロ批評誌ではなく、ボカロクラスタからの資金的・時間的なコストがかけられたバージョンがパイロットです。現時点において、これはかなり特殊な発行形態だと僕は考えています。
既刊分の目次は下記リンクです。
【文学フリマ】ボカロクリティーク(1階大展示ホール T−19、筑波批評社さんにて) - みらくる明るいセカイ

増補内容

  • ころっぷさんによる描きおろし表紙イラスト
  • じゃぶらふきゅーさんによる「ボカロ文献ガイド」
  • 島袋八起による「くちばしP「私の時間」論 ――「うたわせて」にみる「わたし」と「うた」と「ますたー」の関係」
  • オフセット!

前回の表紙イラストは、実は現・中学生のころっぷさんが小学校6年生ぐらいのときに描いたイラストを使わせていただいていました。今回のバージョンはころっぷさんにお願いして新作イラストを描きおろしていただいたものです。僕はころっぷさんの熱烈なファンで、かつてころっぷさんの絵について論じたことがあります。だからとてもうれしいです。ころっぷさんの絵はいつも優しいです。最近の絵として、学校の作品展に出したという月の絵がありますが、ペイントソフトによって鍛えられたレイヤーの概念と光の操作(つまり描画の演算としてのフィルターという概念)が学校教育の絵画の領域と重なっている美しい作品に胸を打たれています。(ゆめじかん。 -

6月の文フリにて既刊分の原稿はテキストとしてウェブ上に順次公開中です(近日中に全文公開予定)。これらのテキストは、いつか検索にかかり、読みたい人に出会うのを待っている財産だと考えているので、執筆者に許可を得て公開させていただくことにしました。

したがってパイロットの刊行は「ウェブで出会わないひとたちに手に取ってもらうこと」をまずは目的とし、次にポータブルで一覧性の高いデバイスとしての印刷物としてのかたちをとって所有してもらうことを第二の目的としています。

増補の1つは、じゃぶらふきゅーさんSound, Language, and Humanによる文献ガイドです。ボカロ文化にかんするブログや論文、出版物、放送などについて簡潔に紹介をしていただいています。こういった整理の作業は、かならず文化的な財産になると信じます。ちなみに、じゃぶらふきゅーさんとしてはもっと批判・検討をしたかったかと思いますが、紙面の都合と、パイロット版としての本誌の性格により、簡潔なガイドの集積としての立場が守られています(守っていただきました)。批判については次稿あるいはブログに期待です。

増補のもう1つは、僕による作品論です。6月の文フリ版においてはアイディアをいくつか素描するにとどめたため、今回ひとつの作品論として書き下ろしました。個人的には高校生に読んでもらいたいと願っています。つねづね主張している初音ミクにおける「わたし」と「うた」の歌詞における押韻的な関係についての思考を記述したものです。

最後に繰りかえし述べますが、パイロットの最大の特徴は中村屋さんによる編集であり、それが物理的にどんな形態をとるのか、それを確認していただきたいと思います。同人誌の魅力は幽霊的に浮遊する熱意や概念たちが、物理的なかたちをとってしまうところにあると思います。ぜひ買ってください。
ぜひ文フリに来て物理的に所有してください。

筑波批評 2011 秋』

筑波批評』は思想系(?)批評同人誌です。哲学や社会学、エンタテインメントとしての批評やインタビューなどが集積された、おそらく「批評のオルタナティブ」を模索する同人誌だろうと僕は考えています。伊藤海彦@による歴史性・実直さを模索する批評、塚田憲史@によるストライクウィッチーズが空中を飛躍するような批評、そのようなオルタナティブな傾向へ批評的に構成をしようとするシノハラユウキ@の編集などからそれは伺えるのではないでしょうか。
僕にできることがあるとすれば、音楽・イラスト方面の批評についてのオルタナティブなやり方を模索することかと思っています。
その意味で今回の地理人さん空想都市へ行こう! / 地理人が、空想都市を詳細地図で描く。インタビューはシノハラさんが「やってやったぜ!」感があるのではないでしょうか。

下記が僕の行った対談と批評です。

  • 対談 言語藝人・白石昇×島袋八起
  • 島袋八起「西洋音楽とJ−POPの歌詞――「もってけ!セーラーふく」論 準備編」

タイ在住の白石昇@さんに、タイの音楽環境と白石さんの人間とを聞きました。とらえようとすればするほど形をうしなう鵺のような白石さんのかたちをとらえようとしています。
批評の方は、「もってけ!セーラーふく」論の準備編です。歌詞を有意味にとらえるための方法論を模索します。本稿ではできるだけ基礎的なことをおさえるのを目的に、歌詞の読解における文学的な方法をラルクアンシエルの歌詞に適用し、それがもってけ!セーラーふくには適用しづらいことを確認します。
次に、歌詞ではなくメロディ、つまり作曲学の方法論から西洋音楽的な視点とはなにかを押さえ、それを(批評的な意図をもって)歌詞分析に敷衍しようとします。ここまでが今回の準備編です。
ちなみに論全体の枠組みとしては、作詞学における1番・2番といった形式や対句・省略・押韻といった創作技法を、作曲学における形式や旋律・和声上の対句・省略・反復といった創作技法と並べ、それを西洋音楽的なひとつの論理とみなします。その論理を歌の受容における、日本語によって書かれた歌詞の意味の読み解きに適用してみるというのが目下の狙いです。
したがって、キャラクター論・メディア論ではなく文学論・音楽論の境界に位置するかと思われます。