ティーナ・カリーナ「あんた」と南安雄『チコタン』
前から非常に気になっているのがティーナ・カリーナの「あんた」という歌。
たしかソフトバンクショップで初めて待ち時間に流れてきたのを聴いていろいろと考えてしまった歌です。
はてなブックマークの記録によると、2012年9月27日にぼくは彼女を発見したようで、それは富澤一誠さんのブログの更新とも同じであったようです。タイミング的にはこの日付が旬だったのかもしれない。
たまに人に話しても、彼女のことを特に知らなさそうだったり、興味をそこまで持ってはくれません。しょぼんとします。
率直に彼女の歌における関西弁の効果を素朴に説明すれば、富澤一誠さんのような結論に達するでしょう。
私たちの潜在下に眠っている“本音の本音”を素直に語ろうとすれば、それは子どもの頃から使い慣れた“方言”になってしまうということです。(中略)そこには大切な人を大事にしようというメッセージが込められていて、それが私たちリスナーの潜在下の意識に訴えかけてきて、共感を呼ぶのです。
すごい“掘り出し物”を見つけた。それはティーナ・カリーナの「あんた」です! - 富澤一誠の「俺が言う!」 (中略は引用者による)
なお、富澤一誠さんは上記の理由の他に、震災後に「故郷愛」や「家族愛」がニーズとして立ち上がったことなどを挙げています。
こういう分析に特に異論はないのですが(潜在下の意識というのはマジックワードな気もしますけれども)、ぼくが彼女の歌に抱いた違和感というのは、それのみではないです。というか、それを目標としているのだろうなと認識しつつ、表現と齟齬が起きているのではないかと感じた。
- 「あんた」はラブソングである
- 「あんた」「こっち」ということばで恋人との距離感を描いている
- 「おれへんから」ということばで恋人の不在を描いている
- 「あんた」は関西弁(方言)を使うことでメタメッセージとして「上っ面」でない「本音」を表現している
戦略として、上記のことは見事に伝わってくるし、それに共感している人もおおいように思います。
気になること
まだ全然まとまっていないのですが、直感的に違和感を感じています。ことばのノリとメロディー/リズムのノリが調整されていないように思えるからです。
メロディーを追うと、微妙に旋律がステップをたどってなめらかに上下し、さらにアーティキュレーションによる複雑さを付け足した一般的なボーカルラインです。
- サビで印象的な「あんたがおれ〜へんから〜」と歌うとき、「あん」という音をどう処理しているか
- サビ終わりで「すきなんよ」ののせ方が緊張感がないように見える
あえて関西弁で歌うなら、ぜひ関西弁で歌うことによるテクニカルなよさを見せつけてほしいとは思うのですが、上記のメタメッセージ以外ではそれが特に見られなかったようなところに、単に残念感をぼくが感じているだけなのかもしれませんが。
こういうこと、みんな考えてるのかわかりませんけれども、広島弁とか関西弁とか方言を使うことは音楽的な語彙が増えるとともに、面白い音が増えるということでもあります。
標準語による音楽のことばでは使えなかった面白い音をテイストとして取り入れるということは、とても価値があることだとぼくは思います。テクニカルにどう処理すべきかとか、そこらへん誰かと話したいです。
そういえば、「あんた」は英語もつかってないですね。こだわりかな。
知らない方もいるようなので、ぜひ子どものための合唱曲「チコタン」を聴いてみてください。なんか良いですよ。
ソース
http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND132382/index.html
すごい“掘り出し物”を見つけた。それはティーナ・カリーナの「あんた」です! - 富澤一誠の「俺が言う!」
ティーナ・カリーナ、デビュー目前!話題の関西弁恋歌「あんた」関西で熱唱! mFound 音楽情報
楽曲
あんた by ティーナ・カリーナ
iTunesMusicStoreでも売ってます。
https://itunes.apple.com/jp/album/anta-single/id577355619
チコタン by 南安雄(作曲)
iTunesMusicStoreでも売ってました。 https://itunes.apple.com/jp/album/songu-bukku/id351083399