フシギにステキな素早いヤバさ

フシギにステキな素早いヤバさを追いかけて。俺は行くだろう。

限界研『ポストヒューマニティーズ』刊行記念イベントのメモ

イベントの正式なタイトルは「『ポストヒューマニティーズ』刊行記念トークイベント ぼくたちのかんがえた伊藤計劃以後20代批評家 Vs. 大森望 !!!」デス。

こちらがパブリックなイベントのアナウンスメントではないでしょうか。

『ポストヒューマニティーズ』刊行記念トークイベント ぼくたちのかんがえた伊藤計劃以後20代批評家 Vs. 大森望 !!!

まだTwitter上のポストはtogetterなどにはまとまってないみたいなので、リアルタイムのツイートは検索で見てみると良いと思います。ぼくは本当に知識と教養がないので、下記のログの間違いなど、裏を取れると思いますので。

Twitter / 検索 - #ポスヒュー

正直にも、正直にならなくとも、ゼロアカ道場の道場破りのころから何となくシノハラさんを眺めていたところ(ぼくの好きな佐藤友哉の批評を書かれていたのです「物語の(無)根拠」)、ひょんなきっかけで筑波批評や読書会に呼んでいただいたり、ボカロクリティークフミカに関わっていただいて、常日頃知的な・かつ精力的な刺戟を受けています。これが彼の晴れ舞台なのか、永遠の地獄へとつづく茨の道なのかはよくわからないけれども、嬉しいな、と思います。

とても嬉しいですよ。

場所・時刻

青山ブックセンター 本店 大教室

1800スタート。1930終了。

グロッサリー(用語集)

ぼくはSFについて、またSF論壇についてほとんど知らないので、固有名詞等に関する誤字がないかの確認も含めて、ググりました。ライブな情報が得られると思われるサイトにリンクもしています。

SFに詳しい方は飛ばして、イベントのログまで一気にお進みください。

書籍へのリンクとかもあります。あとはだいたいWikipediaかな。Wikipediaと書いていないのはご本人のブログやTwitterへのリンクです。

団体名

登壇者(壇上左からの順)

人名

書籍(Amazon)

一般名詞/レーベル・ブランド・製品名

ログ

配置

壇上には4名。

向かって左から、飯田一史、大森望、プロジェクションスクリーンをはさんで、シノハラユウキ、藤井。

なお、客席は9割以上の満席。

イントロダクション

飯田さん、大森さんが本企画の立ち上がりを説明。まったりした雰囲気で始まる。大森さんは52歳で、子供を見るような目で後輩を応援しているとのこと。

藤井義充SFオールタイムベスト

(メモとれず)

シノハラユウキ自己紹介

sakstyleのアカウント、ブログの紹介。筑波批評の紹介。

ゼロアカ道場の話。そこから限界研と知り合ったりした。

新書では瀬名秀明について、自分がずっとテーマにしている「亜人」というキーワードを用いて書いた。

自論解説。科学と社会、ロボットと社会を書くようになった時期の瀬名秀明(『希望』)について関心を持って書いた。

大森補足。瀬名秀明は、科学的な発見によるパラダイムの転換が社会を変えることに、注目している。

藤井義允自己紹介

自論解説。円城塔石原慎太郎を並べて書いている。

補足。伊藤計劃の直後に円城塔が出てきている。

大森質問。どうして『Boy's Surface』を選んだのか。

回答。まず円城塔について論じたかったから。

シノハラ、藤井両者、自己紹介が長すぎるので、飯田さんに中断させられる。

ポストヒューマンとは?

大森解説。サイバーパンクのときに、肉体を改造して人間が違うものに変わるというものがあったが、そのときはポストヒューマンというのがクローズアップされていなかった。

飯田解説。「日本的ポストヒューマン」とは、キャラ文化が根付いている日本のようなところで、SFといえば特にロボットなどのキャラが10代、20代では関心が持たれていると考えられる。(それに名前をつけた)。

10代に「好きな小説」きいてみた

飯田さんによる無作為アンケート調査のグラフを示す。知り合いの塾講師などに手伝ってもらったとのこと。

  • ミステリ 22%
  • ラノベ 20%
  • SF 14%
  • 純文学 13%
  • 以下、図書館戦争山田悠介などが続く。なおボカロ小説は2%。
  • 母数は不明。

なぜ伊藤計劃以後か

00年代前半は「Jコレクション」、「リアルフィクション」の流れ。

ライトノベルからSFへと流れてきた作家がたくさんいる。

00年代後半は伊藤計劃円城塔以降

ボカロやゾンビなど、ライトノベルブーム以降に出てきた想像力が流入している。

何かの説明

藤井、シノハラはSFのファンダムの人ではない。

ディスカッション 伊藤計劃以前/以後を何におくか

大森回答。最近の傾向としては現実の問題と密接にリンクしている作品が多い。

シノハラ発言。

伊藤計劃の特徴を挙げる。社会問題をあつかった映画や涼宮ハルヒの歌詞(このサイトでは、ハルヒの台詞が引用されていると指摘されている)、メタルギアソリッド(おそらく伊藤計劃メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』のことか)のように、時事ネタなどのいろんなネタをリミックスして書くのがうまい。つまり、誰が読んでも自分の知ってる話題が入ってるように見える。

伊藤計劃はわりとセカイ系みたいだと思っている。『虐殺器官』は最後に主人公がセカイを滅ぼしちゃうが、宮内悠介の『ヨハネスブルグの天使たち』は最後に「でも希望はある」みたいに終わる違いがある。

グレッグ・イーガンのように、ポストヒューマンは肉体を捨てるという傾向がSFではあるが、伊藤計劃は肉体をわりと捨てない。むしろ、肉体を残したまま意識を消したりする。

音の反響で世界を立体的に把握する能力を持った人が現実にいるが、それに基づいた作品(どの作品のことでしょう。誰か教えてください)が実際に出てきている。それは面白かった。

飯田補足。伊藤計劃団塊ジュニアで、この世代はまさにセカイ系をつくってきたひとたちだ。

大森補足。宮内悠介も真っ暗な話を書いて、最後に希望があるという書き方はするけど、積極的に未来を肯定するわけではなく、終末観があるとおもう。伊藤と宮内を並べることは別におかしくなくもっともである。

飯田発言。若い人で神林長平しか読まないという事実があったりするがどう思うか。

大森発言。神林長平が『いま集合的無意識を、』を書いて、伊藤計劃以降のプレイヤーとして再登場したと思う。

藤井発言。『ハーモニー』や『虐殺器官』だけを消費しているような人たちがいる。Twitterハーモニーおじさん虐殺器官おじさんなどの例。

大森補足。そういうのは、つまり伊藤計劃がそれだけ有名な存在だったということだ。十角館を書いた綾辻行人が出たときも同じ現象が起こった。

シノハラ発言。視力を失ったにも関わらず、目の前にあるものを言い当てることができる「盲視」(ブラインドサイト)という現象があるが、これをつきつめていくと、伊藤計劃の意識を消した肉体という話につながる(このサイトによると、この症例は大脳の視覚野を損傷した場合に起こるが、人体においては情報が脳に伝わり、見えているはずなのに、意識がそれを否認している状態と解説されるという)。

また、宮内の『盤上の夜』も同じような感じでそれが伊藤計劃以降の特徴だと思う。

大森補足。伊藤にとっては生きのびたくても結局生きのびられないじゃんという意識があると思う。『アッチェレランド』(おそらくストロスの)などでは、意識をアップロードして生きのびるという話があったが、そういう話を伊藤の死の直後に読むと、「そんなわけないじゃん」と感じ、作品にフィットしてちゃんと読めなかった。

会場からの質問

質問。伊藤計劃アマチュア時代からのファン。スターリングやサイバーパンクのリバイバル、諸星大二郎的なものへの議論まで、伊藤計劃以後についての話題が出てこないのはなぜだと思うか。

飯田回答。自分よりも年下(20代以下)今の世代は、そもそも80年代についてまったく知らない状態、つまりギブスンやスターリングを知らずに伊藤計劃などを読んでいるのが事実だろうと思う。

今はdigするのがエライという感覚がないと思う。それが90年代までとはちがうんだろう。

藤井回答。大学のサークルでも、とくに教養主義的にさかのぼって読むというよりは、即物的に読む傾向がある。

シノハラ回答。樺山三英の作品などを読むと、勉強させられるというか、いろいろ元ネタを知らないと楽しめない文体の作り方だが、伊藤計劃→大森へ。

→大森補足。グーグル時代を反映しているようで、ちょっとググったりしたらある程度知識欲が満たされて、ちょっと深いところに入ったような気分になるのではないか。

会場からの質問2

質問を聞き逃した。(おそらく伊藤計劃から影響を受けた世代と思うのは?という質問)

シノハラ回答。伊藤計劃から影響を受けた人として、漫画家の庄司創は『勇者ヴォグ・ランバ』について、本人がそう発言している(著者ブログ)。

大森回答。最近『皆勤の徒』という本を書いた、ぐちゃぐちゃしたポストヒューマンが出てくる作品を書く作家(酉島伝法)がいる。伊藤計劃の影響を直接受けたというよりは、グレッグ・イーガン的な世界観を共有しているのでぜひ読んでほしい。

シノハラ補足。『NOVA10』に掲載されている伴名練「かみ☆ふぁみ!」は一番面白いと思った。オススメ。

飯田回答。最近音楽関係では「エレキング」で、ディストピアについて話すことを頼まれた。しかしディストピアは音楽ジャンルではなく世界観だ。

先進国のこどもたちは、経済のピークも終わっちゃったしただるいなと思いながら、モバイルで音楽をPVとか見ながら楽しんでいる。

海外では、おどろおどろしくて、踊れるか踊れないか微妙なハウスがあったりして、それが「ディストピア」と呼ばれている(名前知ってる人教えてください)。

ボカロで流行っているのも、悲恋や人が死ぬ話などが多く、それをみんなは楽しんでいる。

時間が来て終了。大森望さんから『NOVA10』にサインをいただいた(自慢)。

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