永遠が終わらなくても犬は起き続けて死を待つ
今年もまた夏が来て飽きが来た。
銀杏並木がカルビー・ポテト・チップスのように色づいて音を立てているその石畳を私は歩いていた。
「悪あがきをやめて」
と耳の中のイヤフォンの歌は歌っている。
靴底にすぐに伝わってくる冷えは私の足の裏からすぐに膝へと伝わり、太もも、そして腰を冷やす。腰を冷やしてはいけないと死んだおばあちゃんに言われたから、私はカバンからフェイク・ファーのマフラーを取り出して腰に巻きつける。
誰が言ったのか知らないが、街並みに溶け込んでいる木々の一つ一つのおかしさを指摘して、イレギュラーな立ち方をしているやつをバカにするらしい。
私は、シカが奈良でたむろしているのを見て以来、人間ももっと厚かましく生きればいいのではないかと思っている。
実際、NASが歌っているように、個々人の生き方には選別された美学が既に適用されている。既にだ!
かおりが伝えたこと。
「犬がふわふわしていて、ベッドに入ってくると温かい。温かさは大切。なぜか? 人は寒いと死ぬからだ。コーンクリームシチューを食べて、チキンを食べて、ヌードルとミックス・ベジタブルを食べて、それからチリ・トマトソース・ハンバーグを食べて、それから、布団に入って寝る。人は死んではならない。にこやかに苦しみを受け入れて、そして、声を出して泣き、笑い、苦痛を訴え、快楽を叫び、永遠をこい願い、刹那を消費するべきなのだ」
かおりは沖縄県の石川市で生まれ育ち、宜野湾市の高校を出て、浦添市で働いている27歳の女性だ。彼女の性的な指向は女性であり、彼女はしたがってレズビアンのコミュニティに所属している。彼女は常に「大きな声」に怯えている。「大きな声」とは、時折国道のコンビニで男性やヤンキーや頭のおかしい人たちがはなつ、叫び声だ。
「めっちゃうける」「XXX死ね」「うざ」といった言葉を、どうしてそこまで大きな声で世界中の人たちに伝わるように、叫ばなければならないのか、かおりにはわからないけど、きっと心が叫びたがっているんだろう。
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