湯浅万貴子「肯う地平」@MEDEL GALLERY SHUを見た
有楽町駅近くの帝国ホテルプラザにて、湯浅万貴子さんの個展を拝見しました。
現場で鑑賞し、持ち帰って考えた感想を述べます。
会期 8/29〜9/10(日)まで 11-19時(最終日は17時)
会場 MEDEL GALLERY SHU
住所 東京都千代田区内幸町 1-1-1 帝国ホテルプラザ2F
湯浅さんのツイッター
会場風景
1. 色彩
湯浅さんの作品は色彩が美しい。
上掲の会場風景で左手の5点の作品は、実物を見ると絵の具のカラーがとてもビビッドに仕立てられている。
どれも下地とカラーの色彩対比もよく、また絵の具の取り扱いも上手いのだろうなと感じた。
透明度の高い青と赤の作品はグラデーションの濃淡が官能的だった。
ここで官能的とは、視覚を刺激し感覚を心地よく巡らせるという意味で使っている。
貼ってある箔もまた、この官能性に奉仕しているようだ。
2. シェイプ(面の形状)
面の形状、いいかえると輪郭線のデザインが整理され美しい。
湯浅さんが女性の体をモチーフにしているのも、この線の形状への関心があるかもしれない。
特にこのクローズアップ写真のような箇所。
左右から出入りするシェイプ同士のコミュニケーションがかなり面白い。
また、面の質にも注目してほしい。
箔の背面に浮き出ているブラシストロークと、点描の筆致1点1点の解像度が呼応している。
ここでは箔・点描で作られた面の質および質感へ意識を向けるコントロールが行われている。
3. 図と地が溶けあう場所
図と地の対比を観察していたら、ふと目が吸いよせられた場所があった。
湯浅さんの作品は図と地はかなりくっきりと対比されているところが多いが、
それが溶けあうようなポイントがあり、そこに目が引っかかったようだ。
よくよく観察してみると、このポイントでは質感どうしがスムーズに交わっている。
上半分は銀箔の上に黒い絵の具が乗っているように見える。横方向のブラシストロークが、縦方向の下地と重なり合いながらかすれ、かなり細かい筆触に分解されていく。
それが、下半分の白下地(ジェッソかな)の上にペンで置かれた点描の筆触と対比されながら次第にとけあっている。