フシギにステキな素早いヤバさ

フシギにステキな素早いヤバさを追いかけて。俺は行くだろう。

ボカロクリティーク『 VOCALO CRITIQUE Vol.02 』のご紹介 その1

イベント情報

2012年2月5日(日) THE VOC@LOID M@STER 19
スペース D80
サークル名 白色手帖

http://blog.livedoor.jp/yotalog-vcq/archives/2341500.html
目次と表紙は現在上記リンク先で見ることができます。

カラー版はこちらです。きれいですよ。
ボカロクリティークVol.02

表紙 鷹緒さん

創刊号の初音ミクのデザインにひきつづき、「デジタルデータ」を感じさせる離散的で矩形的な破れ目のある衣装デザインを踏襲した、健康的かつセクシーなGUMIのイラストです。ハトがハートを、GUMIが右手に手紙を持っています。これから手紙をとどけてもらうのか、それとも手紙はとどいたものなのか。あるいは、ハートは今届いたのか、これから届けるところなのか。
ハトの色に注目すると、白ですね。
デンショバトはふつう、体に模様があって緑色や灰色が入り交じったデザインで表されますから、これはデンショバトよりもむしろノアの方舟伝説に出てくる平和の象徴のハトなのかもしれません。すると、きっと平和・平穏を探しに行ったハトがハートを見つけてついばんで帰ってきたと想像することができるのではないでしょうか。そして、後ろ手に隠すように持っているGUMIの手紙はこれからどこかに届けるものではないでしょうか。
だとすればその手紙は、GUMIの歌声によってリスナーに届けられるメッセージを具体化したイラストレーションとして示したものなのかもしれません。

イントロダクション 中村屋与太郎さん「パズルを解くかのように」

思うに、同人誌や雑誌のように何人もの著者がかかわる本にとって、編集者によるひとつの方向へのことばによる導入は大切なものでしょう。あるいは、先の鷹緒さんの表紙イラストによる導入もそうでしょう。中村屋さんらしい笑いのある構成とあわせて、「ボカロ批評」についての率直な思いが、てらいなく描かれているため、よい文章と信じます。ぜひ一読してほしいと思いますよ。

村上昇さん「VOCALOIDの発売と今後」

僕の個人的な経験から紹介を始めます。
株式会社インターネットといえば、初めて買ったオーディオインターフェースに同梱されていた「SOUND IT!」という録音ソフトにひとつの強い印象を持っています。というのは、大学生のときにそれを購入し、バンドの練習音源やライブ音源、中高生のときに作ったカセットテープやMDをデジタル化するのに重宝したからです。たしかMP3とAACに対応しており、初めて自分の曲や演奏の全ライブラリをiPodに入れて持ち歩けたことの感動とともに「株式会社インターネット」ということばは記憶に残っています。
さて、本稿はがくっぽいどの成立の背景を話の導入としながら、日本におけるDTMソフトの開発にまさにかかわってきた村上さんの視点からみたVOCALOIDの成立、普及、発展が描かれています。本文では「感情表現がないという部分が、実は今のVOCALOIDの盛り上がりに不可欠な要素であったのではないかと思っている」という一文があります。それが、「そうなのか」という驚きとともに「こんな文章が読みたかった」と感じさせられるポイントでした。

大福Pさん「海外組 VOCALOID から見るボカロの今後」

導入は、国内の VOCALOID3 音源に「日本語の若い女の子」データベースという偏りを発見し、問題だと指摘しています。次に、海外組の VOCALOID データベースに理想的なばらつきを見いだします。分量としては短いのものの、はっきりとした主張を明確に出した批判の文章となっています。

雑賀壱さん「ダークメルヒェンと VOCALOID

文体としては、雑賀さんらしくおどろおどろしい格調とレトリックによって著された文章です。内容もVOCALOID 、とくに本稿では鏡音リンの歌における「不気味なもの」の成立について考えています。具体的にはちゃぁ、歪P 等の作品がとりあげられ例示されます。



ひとまずここまで。よろしくお願いします。