【辞書】縁とゆゆしきについて、辞書的に調べた
縁ちゃんのこともっと知りたくて、「縁」ということばを日本国語大辞典第二版で調べてみました。
ウザいのではなく、情報処理部的な発想だとご理解ください。
もともとは、Xnagaさんのツイートをみて、ひょっとして、「ゆかり」は「ゆかし」と通ずる言葉なのかもしれない、と思ったのが理由です。
https://twitter.com/yz_xnaga/status/386863224110321666
下記の定義では、実際には、各時代の初出と思われる記事が、用例として引用されています。
(初出とは、現存する文献では最もはじめに使われたという用例のことです)
(1)なんらかのかかわりあい。多少のつながり。ちなみ。機縁。
*安法集〔983~985頃〕「大空のゆかりと聞けばまだみねど雲に埋る跡ぞゆゆしき」
(2)血のつながりのある者。血縁。縁者。また、夫から見た妻、または妻から見た夫。親族。一族。
(3)「ゆかりじそ(縁紫蘇)」の略。
【補注】
類似の表現に「えん」「よすが」があるが、「えん」は人間の関係や仏教への帰依などそうなるべき因果が強い点で、「よすが」は結ばれるに至る手掛りの側に比重がある点で、「ゆかり」とは異なる。
この解説を読む限り、動詞の「行く」が「行か+し」と解説される「ゆかし」とはことなり、ゆかりとゆかしに直接の関係はないようです。
「ちなみ」ときくと、pixivに先行するイラスト投稿サイトであるTINAMI - Navigator of Manga Artists -も想起してしまいますが、ここでは直接の関係はないでしょう。
ちなみに、TINAMIは次のような略語として定義されているようです。
「TINAMI」は 「The Information NAvigator of Manga Artists on the Internet」 の略で、「ちなみ」と読みます。
注目したいというか、単に感激したのは、「ゆかり」の初出の歌に「ゆゆしき」ということばが用いられている点です。雪や雨の歌なのか、何の歌なのでしょうか。
現代の(特定の)文脈でも「ゆかりと聞けばゆゆしきと」というフレーズは掛詞として使えそうですねw
ついでに、「ゆゆし」の初出や用例も調べてみます。
〔一〕触れると重大な結果をもたらすので、触れてはならない。はばかるべきである。
(1)神聖であるので触れてはならない。恐れつつしむべきである。恐れ多い。恐ろしい。
*古事記〔712〕下・歌謡「御諸(みもろ)の 厳白檮(いつかし)がもと 白檮(かし)がもと 由由斯伎(ユユシキ)かも 白檮原童女(かしはらをとめ)」
*万葉〔8C後〕一五・三六〇三「青楊(あをやぎ)の枝きり下ろし斎種(ゆたね)蒔き忌忌(ゆゆしき)君に恋ひ渡るかも〈作者未詳〉」
(2)けがれているので忌み避けねばならない。不吉である。縁起が悪い。心配すべきさまである。
(3)いやな感じである。うとましい。いまいましい。
(4)気がかりである。心配である。
〔二〕程度がはなはだしい。一通りでない。大変である。容易でない。大層である。すっかり…である。
*宇津保〔970~999頃〕祭の使「ゆゆしき物羨みをのみも、となん」
〔三〕非常にすぐれている。すばらしく立派である。
(1)不吉なことが思われるほどすぐれている。そら恐ろしいほど美しい。
*源氏〔1001~14頃〕夕顔「げにうちとけ給へるさま世になく、所からまいてゆゆしきまで見え給」
(2)非常に立派である。非凡である。豪勢である。
【語誌】
(1)「ゆ(斎)」を重ねて形容詞化したもので、手に触れたり、言葉に出したりしては恐れ多く、あるいはそれが不吉であることを表わす。
(2)上代の用法は「ゆ(斎)」の意識が濃厚で、神聖で恐れ多い〔一〕(1)の場合と、縁起が悪く不吉なものを指す〔一〕(2)の場合とがある。中古以降は、〔二〕のように単に程度のはなはだしさを表わす用法も見られるようになるが、その場合でも不吉さを含んだものが見られる。
(3)中世には〔三〕(2)のような、プラスの意味の程度のはなはだしさをいうようにもなる。
「ゆゆしき」の用法は、はなはだしいという理由から、古語にありがちですが、悪い意味で使われる用例といい意味で使われる用例が混在しているようです。