シノプシスの書き方を調べた
夏のコミティアにマンガをかくのだが、物語を作るのにコンプレックスがある。 『バンドやろうぜ』を読んで椎名林檎やPierrotに憧れはじめるまでは、マンガ家になりたいと思っていた。マンガ描く人へのあこがれは常にもっている(HipHopやる人、哲学する人についても同じだ)。
小説でも、だらだらと記述と描写をつなげていくこと、マンガでもそれらしいカットをならべてシーケンスを組んでいくことで、それらしきものをつくることはできてはいる。
ところが常に最初の数行は白紙のままスタートするのである。
これを克服するためにも今回はコミティアに応募してみたわけだ。
Celtx
システマティックにシナリオを書くやり方がないかと思い、「mac script」などで検索していると、celtxというウェブアプリ、Mac、iOSアプリの集合体が出てきた。使ってみたけど日本語だとクラッシュしたり、出力ができなかったりで面倒だ。
しかしながら、ここに脚本を書こうとするとき、当然のように出てくるマンガ脚本のヴィジュアルや構造の仕組みがなかなか面白い。自分はメソッドやツールなどに触発されるタイプなのです。たとえばマンガを書くテンプレで書きはじめると、下記のように改行するたびに勝手に「Page」「Panel」「Caption」(おそらく、各ページ、各コマ、コマの説明のこと)という構造ラベルが挿入されていき、その後改行ごとに「キャラ名」「セリフ」「キャラ名」「セリフ」と自動で切り替わる。まあ確かに、ネームを書くときはこういう構造で書いているのかもしれない。
ウェブ版(Celtx edge)だと、次のPanelに移ったりするときはtabキーを押せば上記の構造間を切り替えて入力することができる。エディタによくある機能と一緒だ(Mac版だとクラッシュするのであまり使えていない)。
なお、図のシナリオは適当に打ち込んだもので、「ふみか」→「ふみきり」→「ふみきらめいて」と連想を経て、書き出すとエリカとユカリが固有名で出てきたので「ゆりきらめいて」に変更した。たぶん百合の話ではない。
DC法とマーベル法
この脚本の書き方の構造をもう少し知らないとな、と思い、「comics script」で検索したところ、次の記事がヒットした。アメリカのマンガの書き方には大きく2通りあり、上記のスタイルでマンガにおいて起こることすべてをスクリプトで記述するDC法と、原作者のシノプシスにしたがってマンガ家がネームを切り、原作者へ戻す。原作者は会話を記入してマンガ家に返すというマーベル法。
おそらく、テキスト部分を原作者が、画像部分をマンガ家がいじくるという分業から来ているのだろう。確かにマーブル法も効率がよさそうだ。 日本のマンガシステムだと、編集者との対話の元に上記二つをマンガ家がやっているのだろう。
ところでシノプシスってアメリカの脚本とか小説の書き方の話を見かけるとよく出てくる気がする。そこで調べてみる。
シノプシス
プロットとシノプシスは似ているようで違う。という話をよく聞くため、「plot synopsis」で検索する。すると両方のキーワードが入ったブログが出てきた。
What is a Plot Synopsis and How do I Write One? | 50,000 Words
この記事で紹介されていた編集者、エージェント、作家の Vivian Beck による、シノプシスを書くための5ステップスが興味深かったので、私訳でメモっておく。
1.フックではじめよう
フックは、本の後ろに書かれている広告文に近く、1つか2つの段落であるべきだ。ここではムードとトーン(雰囲気と調子)が重要なので、特別な形容詞を選んで使え。
2.キャラ紹介
本に出てくるメインキャラを紹介する。各キャラの動機と葛藤、目標を説明する。身体的特徴の細部などは書かないようにする。
3.シノプシスの本文を書く
数段落を使い、年代順にあなたの物語の重要なポイントを記述する。段落をタイトにし、細かいことをいちいち書かない。どのシーンも行動とそれに対する反応、そして結論を含んでいるべきだ。
例:サムはメアリーにキスをしておやすみをする(行動)。彼は彼女に親密な関係になりたくないという気持ちを忘れさせる(反応)。彼は彼女が苦労して手に入れた心の平穏に害を及ぼしてしまう(結論)
4.物語の危機と解決を書くときは3、4行使おう
簡潔を保つが、メインキャラの反応をきちんと見せること。あなたのシノプシスにはその物語の解決が含まれていなければならない。
5.書き直す
完璧の地点に磨き上げられるまで、各文を書き直す。つよい形容詞と動詞を用い、つねに現在の時制で書く。使われているすべてのことばを大切にすること。
あとは、 Vivian Beck のシーンを構想する12ステップスと職業作家になるためにという記事へのリンクも紹介されていた。
フックといわれると、ヒップホップのリリックライティングも思い出すので、なんかアメリカっぽいなぁなどと思った。