【Lifehack】まめピカ☆礼賛と谷川俊太郎
最近ブログの更新が多いのはたぶん疲れてるから。
そうつぶやくとすぐにこの詩を思い出してしまう
ちょっとしたプログラムのバグなんだ多分
そう考えてアトムは両足のロケットを噴射して
夕日のかなたへと飛び立って行く
谷川俊太郎。ぼくはかれがきらいでもあり好きでもある。好きというよりは認めざるを得ない。詩がうまい。ずるい。
そのずるさの感覚は、おそらく初期の彼が二十億光年の孤独 (集英社文庫)で見せつけた、深遠そうな詩にポイと「二十億光年の孤独に/ぼくは思わずくしゃみをした」などと書いてしまう、「お前に自我というものはあるのか!」とツッコミたくなってしまうような言語感覚にある。
えへん わたくしはあるいている
ノートをかかえ 二十世紀の原始時代を
引用元:谷川俊太郎「わたくしは」
彼の冷徹な?(あるいは軽薄な)までの詩的言語操作への追究は、つねに詩や散文を書こうとするときに自我が入り込んでくる自分を恥じ入ってしまうくらいに、鮮やかだ。
重い対象、わたしたちが大切だと思い込んでいるものを、あたかも大切なもののように描いたと思いきや、軽く宇宙の遠くへ投げすててしまう。おそらく、それが面白いと感じるから彼はそうするのだろうし、もし彼の内面を詩に読み込んでしまうなら、彼は非常に虚無的な世界感を持っているともいえる。ことばのつくりだす世界をここまで信じて曲げず、肯定する詩人もなかなかいないとぼくは思う。
くしゃみをしたり、えへんといって「わたし」というものを相対化・戯画化するのみならず、彼は鉄腕アトムやミッキーマウスをもまたニヒリスティックに描く。谷川俊太郎は人の思い込み、信念や、ノスタルジー、ロマンティシズムにつけこんで、その枠組みを土台に詩的世界を築こうとする。だからイラッとしつつも上手いと認めざるを得ない。
ぐぬぬ。
ちなみに谷川俊太郎が好きな人にはこのブログがオススメです。
まめピカ☆礼賛
先日トイレマットを買ったので、今日はそれを心置きなく床にひくためにがんばってトイレ掃除をした。 花王 トイレマジックリン ミント本体は普段使いで持っているのだが、リノリウムの床を拭くには泡立ちすぎる。そこでドン・キホーテに行ってよさげな洗剤を物色した。
そこでまめピカを買った。ぼくは迷ったときにはミドリ色の製品を買うと決めているのである。
昔好きだった女の子の名前がミドリちゃんだったのである。
かわいい
じつはコレ、家にかえって気づいたがじつにかわいい造形をしている。JKがカバンにアクセサリーとして身につけていても違和感のないくらいのかわいさと、丸みを帯びてこぶしに握り込めるぐらいのてざわりがまたいい。フィーリングとアフォーダンスに優れている。
掃除用具としてかわいさは最重要に高い。かわいいと掃除が楽しいからだ。
つい掃除の前に撮影会をはじめてしまった。
アンセム感ある。
しゃもじとパンのコラボレーション
カラフルダスター神殿とまめピカ神
顔がついているというのはやはりいい。グリップの感触ですらかわいいので、まめピカは完全にかわいさを基準にデザインされていると思う。
このかわいさは柚子音ぽんのかわいさと等価であるといえよう。
いい香り
まめピカのいいところは、トイレットペーパーに吹き付けても破れにくいところ、およびエチルアルコールかなんかの効果によって素早く揮発してしまう点にある。つまり、駅のトイレとかにあるシュッシュッってやつに似ているのである。
だが強調したいのは香りの良さである。
公式サイトの説明によると、フレッシュアップルのかおりとなっているが、これが非常に良い意味で異化効果のある良い香りなのである。
というのも、さきほど挙げたトイレマジックリンはミントだし、トイレ系の洗剤というのは柑橘系だったり、ラベンダーといったキツめの気分が悪くなるような芳香であることも多く、また、爽やかであってもファンシーさより毒消し要素が強すぎてかえって「あ、トイレの香りだ」と感覚されてしまう。
ところが、宇多田ヒカルの『First Love』を聴きながらまめピカを使っていると、なぜか楽しくてたまらないのである。芳香成分に気分を高揚させる化学物質が別途含まれているかもしれないと思ってしまうぐらいに、ファンシーないい香りがする。トイレ掃除をしているのに、可愛い女の子のそばでくらい部屋に隣に座って、映画でも見ているような気分になるのである。
これは宇多田ヒカルという優れた炊事洗濯お掃除用BGMの効果も大きいかもしれない。
べつにこの歌を聴いていたわけではなく、アルバム『first love』を聴いていたのであるが、ぼくは彼女の「光」のPVを見てからというもの、皿洗いが楽しくなったし、これから自分が作るならこういうスタイルと効果を持った音楽を作りたいと思ったものである。
まめピカは、特に大掛かりなお掃除というよりむしろ、つねひごろから可愛い可愛いと親しんで、こまめにトイレットペーパーをつかってトイレを小掃除するのに向いている。
「まめ」ということばは、その形状もさることながら明らかに「こまめにお掃除」のまめであろう。
酔ったいきおいでジャパンナレッジの会員になってしまったので、ムダに(というこの言葉づかいあまり好きではないのだが)日本国語大辞典を引いてみよう。
(1)まじめであるさま。誠実でうわついたところのないさま。
(2)実際の役に立つさま。生活に直接かかわって実用向きであるさま。
(3)勤勉でよく働くさま。働くことを苦にせずあれこれとよく動くさま。
(4)からだが丈夫なさま。すこやかであるさま。達者。
(1)の用例はすでに日本書紀や古今和歌集仮名序での用例があるようだ。
「語誌」の項を見ると、「まめ」が「はかなし」と対義的に用いられることもあるようだ。
(3)「はかなし」に対して使われることも多く、色恋の「はかなき」ことに対して(2)の意のような実際の暮らし向きに役立つのが「まめなる」ことであった。いずれにしても、平安中期以降は、色恋とはうらはらの意味として理解され、中世になると、現在のような(3)(4)の意味で用いられるようになった。
色恋の「はかなさ」は生活に役立たず実用的でないが、「まめさ」は実用的であるというニュアンスである。まめピカの可愛さを考えると、その意味には縛られないが、実用的でこまめに人を働かせる機能を持っているとぼくは思う。
ぜひご購入してお試しください。
補足
ジャパンナレッジの会員になったのは主として「レビュー」という言葉を引くためである。
だれか紹介してください…